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シンガポールレポート〜南国で暮らす親の覚悟〜(リトルスター@シンガポール)

 夫の転勤により、真冬の日本から真夏のシンガポールへ引っ越してきた2001年冬。国土の狭いシンガポールでは、子どものレクリエーションの場はかなり少なく、勉強熱心なお国柄。駐在員の奥様にとっては、ランチに買い物、テニスにゴルフと、まさに天国そのものですが、子どもにとってはあまり恵まれているとはいえないようです。

 日本では7時半頃にのこのこ起き出し、徒歩で通学が当たり前でした。でも、ここシンガポールでは、日本人学校・インターナショナルスクールともに、バス通学が基本です。ですので、スクールバスのピックアップポイントがあるか、またバスに空席はあるか、ということろから住まい探しが始まります。

リトルスターさんと子どもたち
リトルスターさん(中央)と子どもたち

 それはさておき、狭い国ゆえ、学校の数もそれほど多くはないので、日本人学校しか頭になかった我が家では、中学で1つ、小学校は2つしか選択肢がありませんでした。そしてどれも自宅からは程遠い郊外に位置しています。今までは夢の中だった7時過ぎには、コンドミニアムのゲートまでバス会社の大型バスが迎えにきます。下校時も当然バス。このバスは学校側の運営ではなく、PTAがバス会社に委託しているもの。そのため、一度バスに乗せてしまえば、通学途中で事故があっても学校側に責任はとえません。すべて親の意志のもと、子どもを託すわけです。親としては楽なのですが、何故かこちらのドライバーは運転マナーがあまりよくありません。タクシーに乗ってもスピードオーバーは当たり前、自家用車でも車線変更の際にウィンカーを出す車の方が珍しく、車間距離もかなり狭いという次第。通学バスには、ドライバーの他にアテンダントといってお世話係の方が乗っているのですが、このふたりがよく口ゲンカをするらしく、時々「ママ、今日もバス事故りそうだった。」なんて話も聞きます。まさに朝送り出したら、帰ってくるまでは命がけ(ちょっとオーバーですが・・・)です。自分で送っていこうにも、カローラクラスで7〜800万円もするこの国では、自宅使用分の車を買うなんてことは夢のまた夢。結局はバスを信じて乗せるしかないのです。子どもにとっては、不足分の睡眠を車中で補えるので悪いことばかりでもないようですが、車酔いする子や、冷房がかなりきついためすぐお腹が痛くなる子には、キビシイ時もあるようですね。

 さて、道路の話ですが、国の中心部には4車線くらいある一方通行の道路が多いです。つまり「右見て、左見て」という必要がなく、右だけ見て道路を横断することができるわけです。(シンガポールは日本と同じく右ハンドルの左車線走行)一見安全そうに見えますが、子どもはこれに慣れると対面走行の道路を渡る時に、ついうっかり・・・となりがちです。しかも横断歩道の間隔が長いため、信号も何もないところで横断するのが当たり前のようなところもあります。手本となるべき大人が率先してやっているので、子どもたちも当然のごとく同じ行動をとります。我が家の子どもたちも、来星当初は、しっかり信号待ちをして横断歩道を渡っていましたが、最近では車の少ない道では右見て渡っています。(親が手本になっていないので、反省しなければならないですが・・・)前述したように、猛スピードで運転するドライバーが多いので、日々注意するように指導していかなければならないことです。尚、乗車時の注意としては、シートベルトは助手席&後部座席とも必須で、未装着がみつかると、ドライバー&未装着の同乗者それぞれ、ひとりにつきS$120(日本円で約8500円)の罰金が課せられます。また、8歳以下の子どもを乗せる場合はチャイルドシート使用が義務付けられています。

横断歩道の無いところを横切る人々
シンガポールの道路事情 シンガポールの道路事情
渋滞している、あるいは車がのんびり走っている道路ではなく、ごく普通に車が行き交う道路を横切ってしまうのが当然のようになっています。 日本でも同じようなシーンが多いのではないでしょうか?

 もうひとつこの国で特に注意すべきはです。東南アジアでは昔から熱帯シマカという蚊を媒体として感染する「デング熱」という病気があります。先日、同じコンドミニアムに住む友人が、このデング熱にかかりました。2週間ほど40度近い熱に苦しみ、やっとのことで病院から生還してきた彼女のひとことは「死ぬかと思った」でした。全ての蚊がこの病原菌を持っているわけではないので、私も蚊にさされたことはありますし、定期的に殺虫剤も散布されているので、こんなに身近で発病するとは思いもしませんでした。自分の友人が患ったことで、あらためて虫除けの必要性や蚊が繁殖する水溜りを作らないという自己防御策が必要だと思い知りました。ただでさえ、熱帯の国では、日本では軽く見られているりんご病や手足口病などの病気が、死につながる程の重病になることも稀ではありません。手足口病の流行で、学校や幼稚園が閉鎖になることもあります。ちょっとしたケガでも病院に行くのが遅かったために、切断の一歩手前までになってしまったという話も聞きます。

 欧米諸国のように、子どもひとりでは出歩けない、留守番もダメということはなく、日本とほぼ同じ生活ができる安全な国ではありますが、子どもを事故や病気から守るのは、日本以上に細かい注意が必要のようです。