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身近な慣れによる危険(加藤容子)


 

私には、6歳と8歳の男の子がいます。子どもが生まれてから9年が経とうとしていますが、今からお話する事は、私が経験してきたものです。

 初めての子どもが生まれた時は、慣れないことばかりで毎日育児書を開いては、どうしよう・・・と悩んでいたものでした。その当時は、主人の会社の社宅にいたため、先輩ママさんのアドバイスもあって私自身はとても助かっていました。 長男が生まれた頃は、うつぶせ寝がいいとされていて、周りにいろんなことを言われてはいましたが、よく寝てくれたので昼も夜もうつぶせ寝をしていました。そのうち、寝返りをするようになれば、いろんな寝方をしだすと思っていました。(未だにうつぶせ寝が好きなようです。)今思えば、これも慣れてしまえばということです。

 私が初めてひやっとした事は、ママちゃりのハンドルの所に子ども用補助椅子をつけて買い物に行くようになっていた頃でした。いつものように買い物を済ませて、帰り道に雑誌を買おうと町の小さい本屋に寄りました。いつもなら子どもをおろして一緒に店に入るのですが、おとなしくしていたし、お金を払うだけだったので、息子を自転車に乗せたまま私は店に入りました。すると突然、『ガシャ〜ン!』という音が聞こえて振り向くと、息子を乗せたまま倒れてしまいました。
  私はすぐに自転車の所に行くと息子は大声で泣いていて、怪我がないかすぐに調べましたが、ちょうど冬で綿入りのコートを着ていたので打撲はなかったようでした。頭にも毛糸の帽子をかぶっていたので、大事には至らなかったようでした。もちろん、本屋のおばさんに注意を受けて、周りに来た人にも頭を下げて帰ってきました。 ほんの少し・・・という気持ち、そしておとなしいから大丈夫という慣れからの出来事でした。あれで倒れた所に自動車が来たら・・・と思うと今でも鳥肌が立つ思いです。

 それから次男が生まれ、近くの買い物には、ベビーカーで行っていましたが、実家に行く時は前に次男を乗せて、後ろに長男を乗せて自転車で移動する事が多くなりました。長男が3歳半、次男が1歳5ヶ月くらいの頃の話です。(当時は危険かもしれないと思いながらも、このように3人乗りをしてしまっていましたが、研究員になった今思うと、本当に反省しています!)

 私が子どもを実家に預けて健康診断に行かなければならないため、朝早く自転車で実家に向かっていた時の事です。子どもを乗せているにもかかわらず、急いでいたため、いつもよりはスピードを出して走っていました。すると向こうから男の人が自転車に乗ってきたのですが、すれ違う所で接触してしまいました。「あ〜〜〜〜!」と思った瞬間自転車が転倒してしまい、私も自転車の下敷きになりました。男の人は倒れませんでしたが、一応止まっていました。すぐに『ちょっと・・・・』というと何も言わずに走り去っていきました。すぐに追いかけたかったですが子ども2人が泣いているため、それも出来ませんでした。さらに朝早い時間で人通りがなかったので、見ていた人や助けてくれる人がいませんでした。私も子どももすりむいてしまい、かなり痛かったのですが、時間がなかったのでそのまま実家に向かいました。何も言わずに行ってしまった男の人への怒りもありましたが、自分がもっと子どもを乗せていることを自覚して、危ないと思ったら止まるくらい注意していればよかったとすりむいた傷と心の痛みで涙が出ました。

 最近は見かけなくなりましたが、厚底靴をはいて子どもを抱いているママや携帯のメールをやりながらベビーカーを押している姿を見ると、ひやひやしてしまいます。彼女たちも私と同じように『慣れているから』といって自然にやっているのでしょう。『慣れからの危険』は誰にでも経験はあることだと思います。しかし、危険というのは身近にあって思わぬ時に起こる事ですから、特に家の外では気をつけなければならない事だと思います。


当時の様子